現場のエンジニアとして、採用の一次面接とカジュアル面談を担当している。面接の経験がほとんどない状態から始めて、形式的な面接を何度かやり、その後で進め方を設計し直した。
結論から書くと、変えたのは2点だ。面談の前に「どんな人が必要か」を自分で言葉にすること、そしてカジュアル面談ではこちらから先に話すこと。その内容と、見極めで判断が甘くなった点を書く。
最初は形式的な面接だった
一次面接に入るようになった当初、何をどう聞けばよいのか分かっていなかった。形式的に進めるしかなく、面接の形をなぞっているだけだった。
カジュアル面談も同じで、候補者から見れば「面接の前段」のような空気になっていたと思う。こちらが質問し、相手が答える。選考と変わらない場になっていた。
技術的な見極めは現場の人間にしかできないので、エンジニアが採用に入ること自体は自然な流れだ。ただ、入るだけでは面接にならない、というのが出発点だった。
面談の前に決めておくこと
設計し直すときに、まず面談そのものより手前を決めた。
| 決めること | 内容 | |---|---| | ポジション | チームの中でどの役割を担ってもらうか | | スキルセット | その役割に必要な技術と経験は何か | | 訴求 | この環境の何が、その人にとって魅力になるか |
これが言葉になっていないと、面談で何を確認するのかが定まらない。最初の面接が形式的になった原因は、質問の仕方より先に、ここが空白だったことにある。
3つ目の訴求は、選ぶ側の視点だけだと抜けやすい。候補者もこちらを選んでいるので、何を伝えるかを先に決めておく必要がある。
カジュアル面談:こちらから先に話す
カジュアル面談で変えたのは、話す順番だ。
- こちらから先に話す:今のチームの状況、どんな仕事か、良い面だけでなく実際のところ
- 相手に聞く:仕事で何を重視しているか
- すり合わせる:この環境がその人に合うかどうか
以前は「活躍できそうか」を先に見ようとしていた。今は「この環境が合う人かどうか」を先に測る。
順番を変えた理由は、情報の向きにある。こちらが状況を先に開示しないと、相手は一般的な受け答えをするしかない。チームの実際を聞いたうえでの「それなら自分はこうしたい」「そこは気になる」という反応のほうが、判断の材料になる。
一方的に選考する場より、情報交換に近い場にしたほうが、互いにとって誠実だと考えている。入ってから合わないと分かるのは、双方にとって負担が大きい。
見極めで判断が甘くなった点
自分が後から振り返って、判断の根拠が弱かったと思っている点が2つある。
書類の印象で通過を決める。 書類がしっかり書けていると、それだけで評価が上がる。しかし書類から分かるのは書類を書く力までで、仕事の進め方までは分からない。書類の印象は「面接で確認する項目」を作る材料にとどめ、通過の理由にはしないほうがよい。
意欲の言葉をそのまま根拠にする。 「自分で勉強します」という言葉を、自分は確認せずに判断材料にしていた。面接の場で前向きな言葉が出るのは当然で、それだけでは何も見分けられない。一般に、これからの意欲を聞くより、これまで実際に何をしてきたかを聞くほうが確かだと言われる。最近学んだこと、そのやり方、詰まったときにどうしたか、といった過去の具体を聞くべきだった。
どちらも、判断を「印象」と「本人の言葉」に頼っていたという点で同じだ。面談の前に決めたポジションとスキルセットに照らして、何が確認できて何が確認できていないかを分けておけば、通過の理由を説明できるかどうかで自分の判断を点検できる。
まだできていないこと
ここに書いた設計で見極めの精度が上がったかどうかは、まだ確かめられていない。面談の流れを変えたことで場の空気が変わった、というのは体感であって、結果で確かめられたわけではない。
また、採用は現場のエンジニアにとって本業の合間の仕事になる。準備に時間を割けないと、面接はすぐ形式的なものに戻る。面談の前に決める3項目を書き出しておくのは、準備の時間を短くするためでもある。
まとめ
- 面談の前に、ポジション・スキルセット・訴求の3つを言葉にしておく
- カジュアル面談は、こちらの状況を先に話してから、相手が重視することを聞く
- 「活躍できそうか」より先に「この環境が合うか」を測る
- 書類の印象と意欲の言葉は、通過の理由にしない。過去の具体的な行動を聞く
- 通過の理由を説明できるかどうかで、自分の判断を点検する
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