AIを社内に広めたい。そう思って動いてきたが、正直に書くと、今はシステム部と本部長の2グループで止まっている。
成功談ではない。広げようとして、うまく広がっていない話だ。
今の状態
Claude を業務に使っているのは、自分のいるシステム部と、本部長だけ。それ以外の部署には、ほとんど届いていない。
ツールを用意して、「使えますよ」と伝えることはできる。でも、それだけでは人は動かなかった。
なぜ広がらないのか
理由を冷静に考えると、3つあった。
1. そもそも「何から始めればいいか」を誰もわからない
これが一番大きい。AIが便利らしいことは、みんな何となく知っている。でも「自分の業務の、どこに、どう使えばいいのか」が誰にも見えていない。
入口がわからないものは、使われない。「AIを使ってください」は、「英語を喋ってください」と同じくらい漠然としている。何から手をつければいいかがなければ、人は一歩も動けない。
2. 本部長は息巻いているが、本人もゴールが見えていない
本部長はAI導入に前のめりだ。実際、自分の作業や方針決定にはAIを使っている。そこは生産的に見える。
でも、「組織としてAIをどう使うか」のゴールやビジョンが本人の中にもない。だから旗は振るけれど、行き先を示せない。以前、本部長がAIにのめり込んで暴走した話をAIを社内に広めたら、本部長がモンスターになった話に書いたが、あの暴走の本質はここにあったと今は思う。
ツールの力だけ手にして、ゴールがないと、人は暴走する。 方向がないエネルギーは、ただ周囲を振り回すだけになる。
3. 上層・経営の理解が追いついていない
経営レベルで「AIをこう活用する」という方針があれば、現場は動きやすい。でも今は、その理解が追いついていない。
予算も、方針も、優先順位も、経営の旗振りがあって初めて全社に広がる。そこが弱いと、いくら現場で旗を振っても、部分的な普及で止まる。
気づいたこと:ツールを配るだけでは広がらない
この3つに共通しているのは、「何のために、どこで使うのか」が設計されていないということだ。
自分は最初、「便利なツールがあれば、みんな自然に使い始める」と思っていた。違った。
便利さは、使いどころとセットでなければ伝わらない。本部長のように、ツールだけ手にしてゴールがないと暴走する。現場のように、入口がわからないと無関心になる。どちらも「使いどころの設計」がないことの裏表だった。
だから、まず使いどころを設計する
今、自分が考えているのは、全社にツールを配ることではない。まず「使いどころ」を設計することだ。
たとえば、議事録。報告書の下書き。データの整理。メールの叩き台。非エンジニアの業務の中で、「この作業は、AIでこう楽になる」という具体的なユースケースを、一つずつ言語化していく。
漠然と「AIを使おう」ではなく、「あなたのこの作業が、これで減る」と示せれば、人は動くはずだ。入口を作る。ゴールを示す。それが、ツールを配るより先にやるべきことだと、ようやくわかってきた。
まだ、答えは出ていない
正直に言うと、この設計はまだ途中だ。使いどころを整理している最中で、全社展開が成功したわけではない。
でも、方向は見えた。「ツールを配る」から「使いどころを設計する」へ。順番を間違えていたことに気づけたのは、2グループで止まったからこそだ。
止まったことには意味があった。広がらない理由を、嫌でも考えることになったから。
同じように「AIを社内に広めたいのに広がらない」と悩んでいる人がいたら、一度立ち止まって聞きたい。ツールは配ったか? それとも、使いどころを設計したか? 自分は前者から始めて、つまずいた。今は後者からやり直そうとしている。
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